「山本くーん、あのさぁー♪……」



何よ、山本のバカ。女の子とベタベタしちゃって。






あたし、はこうみえても人気のある男子でベスト3をキープしている男の子、山本武と付き合っている。


もちろん、クラスの皆は知らない。


=山本をフリーだと思って近づいてくる女の子が多いってわけ。



「…あー。もーっ!」


「ま、まあ、落ち着いて。山本はちゃんしか好きじゃないから!」


「ツナくーん!」


「そーだよ、。あたしからも山本にはきつーく叱っておくからね!」


…」


「ったく、もそんなじゃ大変だよな。」


「獄寺…」


山本の友達のツナくんと獄寺。

あたしの親友の


この3人は唯一、あたしと山本の関係を知る仲だ。



「3人ともありがと!元気出た!」


「あ、でも。焼きもちにしてはいつもよりちょっとキレ気味じゃない?」


「だって、山本さー、あたしに1回しか好きって言ってくれたことないから、ちょっと愛が感じられなくて…」



「「「え、」」」


「他の女の子の方が好きなのかなーって。」


これは、ホントのお話。




「っは、野球バカ、もろそーいうの言いそうなタイプじゃねーか!」


あたしも付き合う前までは、獄寺の言う通りかと思ってた。


「うーん、でも、言ってくれたの告白してくれたときの1回きりだもん…」


やっぱり言ってくれないってことは、あたし以外に本命がいるってことかなー…

名前呼ぶときも名字で呼ぶし…


「あ!じゃあ、山本本人に直接、好きって言ってもらったら?」


あたしたちが悩んでいると、がストレートな意見を出す。

確かに山本本人に聞くのが一番手っ取り早い方法かもしれない。


「なるほど!言ってみようかな…」


そう覚悟した瞬間、愛しい、愛しい、山本の声。


ー、屋上行こーぜっ♪」


「本人も登場したことだし。」


「うん、ありがとね、3人とも!」


「お、何かあったのか?」


ええ、ええ。ありましたとも!あなたのことでね!って言葉を呑みこんで山本についていく。



「わぁぁー、すごーい!見てみてっ、山本っ、雲が1つもないよー!」


屋上に到着したあたしは雲1つない空を見上げてはしゃいだ。


それを見ている山本はニッコリ微笑む。


あ!あのこと聞かなきゃ、だよね。



「あ、あああのさ、山本!!」


「んー、どしたー?」


「あたし以外に好きな人、いるの?」


あたしたちの間に数秒間の沈黙が訪れた。


それから、山本が口を開いた。


「え…どーしてだ?」


「だ、だって、あたしのこと名字で呼ぶし、あたしに好きって1回しか言ってくれたことないから…」


「はは、あははははっ」


すると突然、山本が笑いだした。


「な、何っ!?あたし変なこと言った?」



「ふー、いや、言ってねぇぜ?」



「だ、だよね!!あはははは!!」




それからあたしが再び空に視線を戻すと、




「…、好きだぜ。」




あたしの耳もとで山本がそう囁いて、びっくりして振り返ったあたしにキスをした。






愛の言葉は制限中
(山本はそういう言葉を特別なときにだけ言いたいんだって)









(09.02.04 / title:エナメル)
山本くんのこだわりっぽいもの。以外と獄寺くん主人公に構ってあげてます(笑)