切原赤也くん。

あたしの大好きな人。




今は、6時間目の真っ最中。


でもあたし、は突然襲ってきた睡魔と戦っています。




うーん……ね、眠い。


で、でも、寝るわけにはいかない!!


なぜかというと、あたしの隣の席は大好きな赤也くん!(お話したことないけど…)


だからここで寝てしまったら、あたしは赤也くんに寝顔を公開することになってしまうのだ。


それだけは、どうしても避けたい。



でも、だんだん視界から一生懸命授業している先生やノートに書き込んでいるみんなが薄れていく。


も、もう限界……。














俺の隣で眠そうに授業を聞いている女、


こうみえて、俺の好きなやつだったりする。



せっかく、席替えで隣同士になったていうのに全然話したことがない。


そんなことを考えていると、スースー寝息を立ててが眠り出した。


寝顔かわいいな…。


ってやべ!俺、変態みてーじゃん。





「うー…ん……、赤…也…くん。」




ドキ、ドキ。


柄にもなく俺の心臓が鳴り響く。


つーか、何で、俺の名前っ……




「……き。」



!!



次にから発せられた言葉により、


俺の心臓の警報はドキドキからバクバクへと変わっていた。




マジかよ…



だって、あのが俺に……



「好きって……」















あたしは夢を見ていた。



眠っているあたしに隣から赤也くんが優しい目で覗いている、そんな夢。




『…。俺もお前のこと好きだぜ。』




耳元で囁く、甘い甘い、赤也くんの声――




それから、何か柔らかいものが唇に触れた。




そっか、赤也くんの好きな人ってあたしだったんだ。






……って、ええ!?



ガバッと体を起こすあたし。



「赤…じゃなくて、切原くん……?」


「っ……、俺、キスなんてしてねーからな!!」


小声でそう叫ぶ赤也くん。



「そ、それってしたってこと…?」



そ、それじゃあ、あの柔らかいものは赤也くんの唇だったんだ…。



「あ、やべっ……!!」



顔を真っ赤にさせる赤也くん。どうやらホントみたい。



「―だってよ、が俺のこと好きって言ったから…」


「ええ!?あ、あたし、寝てる間に……ってじゃあ、あの言葉もホント?」


「あの言葉って何だよ?」


「えっと、あの、『…。俺もお前のこと好きだぜ。』ってやつ…。」


「げ…、お前、起きてたのかよ!?」


「その、まあ、一応……。」


「マジかよ……。やべぇ、めちゃくちゃ恥いんスけど。」


「あたしも、寝言でそんな……聞かれてたなんて…。」



あたしは、自分の体全体が真っ赤に染まっていくのを感じた。




「〜っ、、超かわいーんだけど。」


そういって、あたしに抱きつく赤也くん。



「あ、あか、赤也くんっ!?」




そしてそれからあたしたちを待っていたのは――




「切原!!授業中に何してんだ!!早くから離れなさいっ!!」



「へ、へーい……」




先生からのお説教でした。






(そういえば、授業中だったっけ?)








そんなことも忘れていた、あたしたちの青春。(09.02.08)